平成四年 第一六号

 

     公判調書の記載に対する異議申立書

 

             被告人           

 

 右の者に対する殺人・死体遺棄被告事件について作成された第二回公判調書の記載について、次のとおり異議を申し立てる。

 

    一九九二年六月一日

 

             弁護人  

 

             同

 

             同

 

浦和地方裁判所刑事第一部 御中

 

              記

 

 一 一九九二年五月七日に行われた第二回公判期日において、主任弁護人高野隆は、証人高橋勇夫に対する尋問を実施する旨の訴訟指揮に対して、次のとおり異議を申し立てた。

  1 公判期日に先立って、弁護人と検察官との間で、「捜査の順序に従った証人調べをすべきであるとの観点から、まずはじめに被告人に対する職務質問を行った村井明巡査部長を証人尋問し、その後に藤原清裕巡査を尋問すべきである。既になされた証拠決定を変更することについては、検察官の方で裁判所の了解を得る」との合意が成立していた。

  右「裁判所の了解を得る」との点について言えば、弁護人が「裁判所も交えて三者間で協議をすべきである」と提案したのに対して、検察官は「自分の方で裁判所の承諾を得るので、その必要はない」と答えたものである。

  2 しかるに、本日の公判で、弁護人との右の合意に反して、全く事前に何らの連絡もなしに、検察官は、前回の証拠決定どおりの尋問を行おうとしているのであって、これは明らかに不意打ちであり、信義則違反(刑訴規則一条二項)である。

  3 右合意がなかった旨の検察官の釈明は事実に反するものであり、まことに遺憾である。

 二 しかるに、書記官作成の第二回公判調書(手続)には、右弁護人の異議およびその理由についての記載が全て抜け落ちている。その一方で検察官の行った釈明のみが記載されているのである。

 三 このような公判調書は、その記載が不正確であるというに留まらず、検察側の主張のみ記載し、それに対応する弁護人の主張を全て排除したものであって、不公平極まりないものである。このようなことでは、弁護人としては自らの主張するところを予め書面にするなどの手段を採らない限り、その訴訟追行が記録上存在しないことにされてしまう恐れがあるのであって、時宜を得た臨機応変の訴訟活動をすることは不可能となってしまう。弁護人のみがそのような不自然かつ不便極まりない訴訟活動を強いられるいわれはない。

 四 よって、弁護人は、第二回公判調書を前記のとおり実際の公判での出来事に則したものに訂正するよう申し立てる。

                                以上