2005年11月3日
○○地方裁判所刑事第△△部 御中
平成17年(わ)第××号
事件 ○○○
被告人 △△△
弁護人 高 野 隆
被告人の着席位置に関する申立て
次に述べる理由により、被告人が当事者席の弁護人の隣に着席することを認めていただきたい。
記
刑事被告人は、公判開廷中においても随時弁護人と自由かつ秘密にコミュニケーションをする権利を持っている。この権利は憲法37条3項並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約14条3項(b)が保障する弁護人の援助を受ける権利に包含される重要な権利である。そして、公判の進行を妨げずに被告人が自由に適宜この権利を行使するためには、被告人の着席位置を当事者席の弁護人のとなりに配置する必要がある。
被告人が弁護人の席の前のベンチに弁護人に背を向けて着席することを強制する法的根拠はどこにもない。公判開廷中被告人は自由でなければならない(刑訴法287条)。そのような着席位置では、被告人は体をのけぞらせないと弁護人と話ができないし、弁護人はその都度身を乗り出して被告人と話をしなければならず、このような方法を取らねばならないとすれば、秘密交通を維持しつつ被告人との適時適格な事実及び意思確認を行うことが著しく困難となり、ひいては公判審理の円滑が妨げられる虞もある。被告人と弁護人のコミュニケーションに対して萎縮効果が生じることは明らかである。
身体の拘束を受けている被告人については、拘置所の職員が戒護権を理由に被告人の両脇に密着することを要求することがあるが、本件被告人は保釈されており、この点も理由にならない。
刑事被告人は訴訟の当事者である。民事訴訟の原告や被告と変らない。民事裁判の法廷で当事者が代理人の前に座っていることなど想像できない。これと刑事被告人の取扱いを変えなければならない合理的な理由はどこにも存在しない。
以上