平成一一年(わ)第一三六九号

 

        被告人の着席位置に関する申立

 

     現住建造物放火        被      

 

右被告事件につき、公判期日における被告人の着席位置について次のとおり申立てる。

 

                     一九九九年一二月二一日

 

                                        右 弁 護 人  高                     

 

浦和地方裁判所第三事部

裁判長 仙 波 厚 殿

 

 

第一 申立の趣旨

被告人の着席位置を弁護人席の弁護人のとなりに配置されたい。

被告人の戒護にあたる拘置所職員は、被告人と弁護人の間の会話が聞き取れない位置に配置されたい。

第二  申立の理由

刑事被告人は、公判開廷中においても随時弁護人と自由かつ秘密にコミュニケーションする権利を当然に持つのであり、この権利は憲法三七条三項並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約一四条三項(b)が保障する弁護人の援助を受ける権利に包含される重要な権利である。

公判の進行を妨げずに被告人が自由に適宜この権利を行使するためには、被告人の着席位置を弁護人席の弁護人のとなりに配置する必要がある。裁判官の正面のベンチに被告人を配置すればこのコミュニケーションが不可能となることは明らかである。また、弁護人席の前では、被告人は体をのけぞらせないと弁護人と話ができないので十分なコミュニケーションをすることができない(渡辺修「被告人の防御権と拘置所の戒護権」『中山研一先生古希祝賀論文集(第五巻)』九五、一一二頁(一九九七年))。

拘置所の職員が被告人の両脇に付き添うことは、憲法や条約が保障した被告人と弁護人との自由かつ秘密のコミュニケーションの権利を侵害するものであることが明らかである。のみならず、このような「サンドイッチ戒護」は、被告人が暴力を振るいあるいは逃亡を企てた場合以外には公判廷においては「身体を拘束してはならない」ことを定めた刑事訴訟法二八七条一項及び二項に違反する(小田中聡樹他編著『刑事訴訟法』、現代人文社、一九九八年、二五三頁)。

よって、前記のとおり申立てる。