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資料集

MIRANDA ASSOCIATION

刑事司法改革の指針となる、内外の判例、国連関係文書等

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韓国対ソン――身体の拘束を受けた被疑者は取調べに弁護人を立ち合わせる権利がある

韓国大法院2003年11月11日決定 山本宜成訳

大法院2003.11.11.2003402決定【準抗告認容に対する再抗告】

[公2004.2.1.(195),271

【判事事項】

    [1] 拘禁された被疑者に対する被疑者尋問に弁護人の立会いを許さない捜査機関の処分を争う方法(=準抗告)

    [2] 拘禁された被疑者に対する被疑者尋問時、弁護人の参加を要求する権利があるか否か(積極)及びその権利の制限可能性の有無(積極)

    [3] 拘束された被疑者に対する検事の被疑者尋問時に被疑者の要求にもかかわらず弁護人の参加を拒否した検事の処分が違法であるという理由でこれを取り消した原審決定を正当だとした事例

【決定要旨】

    [1] 刑事訴訟法第411条は、検事または司法警察官の拘禁に関する処分に不服があれば法院にその処分の取消または変更を請求することができると規定しているところ、これは被疑者の拘禁または拘禁中に行われる検事または司法警察官の処分に対する唯一の不服方法である点に照らしてみると、令状によらない限り拘禁や弁護人または弁護人になろうとする者との接見交通権を制限する処分のみならず、拘禁された被疑者に対する尋問に弁護人の参加(立会い)を許さない処分もまた拘禁に関する処分に該当するものとみなければならない。

    [2] 刑事訴訟法が未だ拘禁された被疑者の被疑者尋問に弁護人が参加することができるという明文規定をおいてはいないが、身体を拘束された人の弁護人との接見交通権が憲法と法律により保障されているのみならず、何人も逮捕または拘束をされたときは即時弁護人の助力を受ける権利を持っていると宣言した憲法の規定に照らし、拘禁された被疑者は刑事訴訟法の上の規定を類推・適用して、被疑者尋問を受けるにあたって弁護人の参加を要求することができ、このような場合、捜査機関はこれを拒絶することができないものと解釈されるべきであり、このように解釈するのは人身拘束と処罰に関して“適法手続主義”を宣言した憲法の精神にも付合するものであり、拘禁された被疑者が被疑者尋問時、弁護人の参加を要求することができる権利が刑事訴訟法第209条、第89条などの類推適用によって保護される権利だとしても、憲法上保障された他の基本権との間に調和をなすべきであるとともに、拘禁された被疑者に対する尋問時に無制限に弁護人の参加を許容すること、さらに憲法が宣言した適法手続の精神に合わないことにより尋問を妨害したり、捜査機密を漏洩するなどの恐れがあると疑うだけの相当な理由がある特別な事情があることが客観的に明白であって、弁護人の参加を制限しなければならない必要があると認められる場合には、弁護人の参加を制限することができるのは当然である。

    [3] 拘束された被疑者に対する検事の被疑者尋問時に被疑者の要求にもかかわらず弁護人の参加を拒否した検事の処分が違法であるという理由でこれを取り消した原審決定を正当だとした事例

【参照条文】

[1]刑事訴訟法第417

[2]刑事訴訟法第34条、第89条、第209条、憲法第12

[3]刑事訴訟法第34条、第89条、第209条、憲法第12

【参照判例】

    [2] 大法院1991.3.28.9124決定(公1991,1324)、憲法裁判所1992.1.28.宣告91憲マ111決定(憲集4,51)、憲法裁判所1995.7.21.宣告92憲マ144決定(憲公11,526

【全文】

【再抗告人】

検事

【被疑者】

ソン・ドゥユル(宋斗律)

【原審決定】

ソウル地法2003.10.31.2003チョギ2787決定

【主文】

再抗告を棄却する。

【理由】

1.再抗告理由第1点について

 刑事訴訟法第417条は、検事または司法警察官の拘禁に関する処分に不服があるときは法院にその処分の取消または変更を請求することができると規定しているところ、これは被疑者の拘禁または拘禁中に行われる検事または司法警察官の処分に対する唯一の不服方法である点に照らしてみると、令状によらない拘禁や弁護人または弁護人になろうとする者との接見交通権を制限する処分のみならず、拘禁された被疑者に対する尋問に弁護人の参加(立会い)を許さない処分もまた拘禁に関する処分に該当するものとみなければならないものである。

 原審が、同じ趣旨から、準抗告人に対する被疑者尋問に弁護人の参加を許さなかった処分が準抗告の対象になることを前提に判断した措置は正当であり、しかも再抗告理由の主張のような準抗告に関する法理の誤解などの違法があるということはできない。この点に関する再抗告理由の主張は受け入れられない。

2.再抗告理由第2点について

カ.憲法第27条第4項は、“刑事被告人は有罪の判決が確定するまでは無罪と推定される。”と規定しており、無罪推定の原則を宣言しているが、この無罪推定の原則は不利な措置におかれた被疑者・被告人の地位を保護し、刑事手続における彼らの不利益を必要な最小限に止めようとするものとして、人間の尊厳性尊重を究極の目標としている憲法理念から出てきたものである。拘束は被疑者や被告人について特にやむを得ない事由があるときにのみ認められる制度であるが、単純に捜査や裁判の便宜のみのために捜査機関や裁判機関によって拘束制度が濫用されやすいとともに、特に拘束された被疑者については拷問や暴行などが行われやすく、拘束された状態では憲法第12条第2項に規定している供述拒否権も効果的に保障され得ない。したがって、無罪推定を受けている被疑者・被告人について身体拘束の状況で生じる諸々の弊害を除去し、拘束がその本来の目的からそれたり、不当に利用されないように保障するために憲法第12条第4項本文は上のような身体拘束を受けた人について弁護人の助力を受ける権利を基本権として保障しているのであって、このときの“弁護人の助力”とは“弁護人の十分な助力”の意味だといえよう(憲法裁判所1992.1.28.宣告91憲マ111決定、1995.7.21.宣告92憲マ144決定参照)。

 一方、憲法第12条は、身体の自由を保障するための人身拘束に関する諸規定をおくとともに、その第1項で何人も法律と適法な手続によらなければ処罰・保安処分または強制労役を受けないと規定しており、人身拘束と処罰に関して“適法手続主義”を宣言しているところ、身体の自由と証拠能力に関する憲法第12条の冒頭に法律以外に“適法な手続”を規定した趣旨は、裁判官が人身の拘束に関する憲法と法律の規定を解釈・適用するにあたって、国家刑罰権より個人の人権擁護に優位をおいて憲法と法律を解釈・適用するものとし、個人の人身拘束に慎重を期さなければならないものと解される。

ナ.身体拘束を受けた人の弁護人の助力を受ける権利は弁護人との自由な接見交通を通じて実現され得るものであること、刑事訴訟法はこれを実質的に保障させるために第89条及び第209条において拘束被告人または被疑者の他人との接見交通権を規定する一方、これをより確実に保障するための手だてとして、第34条に立脚する弁護人または弁護人となろうとする者の身体拘束を受けた被告人または被疑者との接見交通権を規定しているところ、このような身体拘束を受けた人の弁護人との接見交通権をその人権保障と防御の準備のために必要不可欠な権利として、法令による制限がない限り、いかなる名分でも制限されうる性質のものではないことはもちろん、捜査機関の処分や法院の決定でもこれを制限することができないものであり(大法院1991.3.28.91モ決定及び上憲法裁判所1992.1.28.宣告91憲マ111決定等参照)、現行法上身体拘束を受けた人と弁護人の間の接見交通を制限する規定は用意されていないことで、身体拘束を受けた人は捜査機関から被疑者尋問を受ける途中でもいつでも弁護人と接見交通することが保障され、許されなければならず、これを制限したり、拒否することは身体拘束を受けた人の弁護人との接見交通権を制限するものとして、違法であることを免れないといえよう。

 刑事訴訟法がいまだ拘禁された被疑者の被疑者尋問に弁護人が参加することができるという明文規定をおいてはいないが、上のような内容の接見交通権が憲法と法律によって保障されているのみならず、何人も逮捕または拘束を受けたときは直ちに弁護人の助力を受ける権利を持っていると宣言した憲法の規定に照らし、拘禁された被疑者は刑事訴訟法の上の規定を類推・適用し、被疑者尋問を受けるに際して弁護人の参加を要求することができ、そのような場合、捜査機関はこれを拒絶することができないものと解釈しなければならず、このように解釈することは人身拘束と処罰に関して“適法手続主義”を宣言した憲法の精神にも付合するといえよう。

 しかし、拘禁された被疑者が被疑者尋問時に弁護人の参加を要求することができる権利が刑事訴訟法第209条、第89条等の類推適用によって保護される権利だとしても、憲法上保障された他の基本権との間で調和をなさなければならず、拘禁された被疑者に対する尋問時に無制限に弁護人の参加を認めること、さらに憲法が宣言した適法手続の精神に合わないことで尋問を妨害したり、捜査機密を漏洩するなどの恐れがあると疑うだけの相当な理由がある特別な事情があることが客観的に明白に弁護人の参加を制限しなければならない必要があると認められる場合には、弁護人の参加を制限することができるのは当然であるといえよう。

タ.記録によると、準抗告人はドイツ、ムォンスター大学哲学教授としてドイツに居住してきたうえ、準抗告人に対して2003.9.18.国家保安法違反嫌疑で逮捕令状が発付された状態で、同月22.対官民扱くに入国し、その翌日から国家情報院とソウル地方検察庁で13回にわたって不拘束状態で捜査を受けてきたなか、同年10.22.準抗告人に対する拘束令状が発付され、準抗告人がソウル拘置所に収監された事実、準抗告人は国家情報院とソウル地方検察庁で13回にわたって捜査を受けるとき、弁護人の参加の下に尋問を受けたが、ソウル地方検察庁検事は同月24.準抗告人に対する被疑者尋問時に準抗告人の要求にもかかわらず、弁護人の参加を認めない処分をした事実、再抗告人はこの事件の捜査が他の被疑者らに対する内容も含まれており、基本的に国家安保に関するもので対外的に公表されてはならない機密事項を多く含んでいるとして、被疑者尋問時の弁護人の参加が認められてはならないと主張しながらも、それに関する何の資料を提出していない事実が認められる。

 事情がそうであるならば、拘禁された状態にある準抗告人が準抗告人に対する被疑者尋問時の弁護人の参加を明示的に要求しているのに、再抗告人が弁護人の参加を認めず、再抗告人が弁護人の参加を許さない必要が認められる客観的に明白な特別な事情があることを認めるだけのいかなる資料も提出していないことで、弁護人の参加を認めなかった再抗告人のこの事件の処分は違法だといえよう。

 原審がその理由の説示で適切でなかった点があるが、拘束された準抗告任意対する検事の被疑者尋問時に準抗告人の要求にもかかわらず、弁護人の参加を拒否した検事の処分が違法だという理由でこれを取り消した結論は正当であり、結局これを誤っているとする再抗告は理由がない。

3.よって、再抗告を棄却することに関して大法官の一致した意見により、主文のとおり決定する。

大法官 キム・ヨンダム(裁判長) ユ・ヂダム ペ・ギウォン(主審)

    イ・カングク


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