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ミランダの会が発表した宣言、記者発表、コメントほか 浦和地検検事正に対する抗議声明 (1995.4.7)
去る四月五日付で浦和地方検察庁検事正を退官した清水勇男氏は、退官前日に記者会見を行った。新聞報道によれば、その際、清水氏は、一部の若手弁護士の弁護活動を批判した。その内容は、朝日・東京・埼玉の新聞各紙によると、被疑者の人権だけを強調し、被疑者に黙秘させたり、調書に署名させなかったりする若手弁護士がおり、これらの弁護士は、社会正義の実現・法律家としての本質・本当の職務を忘れている、というものであった。 私たちは、かかる発言を黙過すれば、刑事弁護士の弁護活動に対する誤解を社会一般に流布することになると考え、抗議声明を発表することにした。清水氏の右発言は、黙秘権及び弁護人の援助を受ける権利が、全ての個人に保障された日本国憲法上の権利であることを等閑視すると共に、刑事弁護士の職業倫理に対する無理解を露呈するものであり、ここに抗議の意を表するものである。 わが国においては、捜査機関による被疑者に対する取調べに弁護人が立ち会うことも許されず、取調べの経過を録音・録画することも行われていない。即ち、取調べ室で何が行われたかは外部の者には全く分からない仕組みになっている。このような密室の中で、被疑者に対する特捜部検事の暴行事件や警察官による供述調書の捏造事件が発生しているのである。また、かかる密室での取調べと長期の身柄拘束が、虚偽の自白調書の作成をもたらし、死刑再審無罪事件四件を含む幾多の冤罪を生み出して来た。私たちは、密室での被疑者取調べは改善されなければならないと考える。取調べに対する弁護人の立ち会い、録音・録画はその一方策である。そして、これは、今や文明国の国際的常識と言えるものである。 このようなわが国の状況下において、弁護人が、被疑者に対し、黙秘権の行使や弁護人の確認前の供述調書に署名拒否を助言することは、憲法上の権利の当然の行使である。のみならず、それは、現時点において、密室に閉じ込められて呻吟する被疑者に光明を差し入れ、冤罪を防止する唯一の方策であり、弁護士の職業倫理に適った極めて正当な活動である。 国家が個人を犯罪者として処罰することを許されるのは、適正な手続きに基づいて獲得された証拠によって、犯罪事実が確実に証明された場合にのみ可能であるという原則は、絶対に揺るがせにしてはならない。刑事弁護士は、この原則に従い、被疑者・被告人の権利を最大限擁護することを目的として弁護活動を行う。それは、単に、冤罪を防止し、当該被疑者・被告人の権利を擁護するというに止まらず、自由社会の基本的システムの維持に寄与するのであり、正に社会正義の実現に外ならないのである。 私たちは、今後も、取調べの可視化と被疑者・被告人の権利の擁護を目指し、自由社会を維持するために、一層の努力を傾注する所存である。大方のご理解を心より訴えるものである。
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