ミランダの会活動報告11
警察が会員情報を収集?
季刊刑事弁護18号126頁、現代人文社の許可の下に転載しました。
一九九八(平成一〇)年○月○○日、新潟県弁護士会から「事件処理依頼書」を受け取った。事件名は「Aがケンカで相手を死亡させた友達をかくまっている件」であった。
「友人が犯した傷害致死事件について警察署から何回も事情聴取を受けていて、このままではAが共犯扱いされかねないので何とかしてほしい」というのが相談の趣旨であった。
警察署長宛に内容証明郵便を出した(抜粋)。
「Aは、本年○月○日に発生した傷害致死事件の参考人として貴警察署から事情聴取を受けており、家族と共に、この件について当職に相談に来られました。
Aの話によれば、貴警察署捜査官○○の事情聴取は、例えばAを嘘つき呼ばわりするなど、はなはだ穏当を欠いた不適切なものであります。このような事情聴取のやり方はAの人権を軽視したものであり、甚だ遺憾です。
ついては、爾後、Aに対する事情聴取については、当職がこれに立ち会いますので、今後の事情聴取の日時を当職事務所にご連絡ください。立会いのない事情聴取は一切お断りします。」
Aは、約一カ月後に傷害致死容疑で逮捕され、私は、この事件を受任した。
そして、なんと驚いたことに、弁護活動の中で見た被疑者に関する記録の中に、私に関する個人情報が記載されていたのである。発見当初は大変驚いたが、いくつか気がついた点があった。それは以下のとおりである。
(1)「ミランダの会」がいかなる会であるかについて、捜査報告書にはなんの解説もない。解説など不要ということであろう。
(2)私の住所(事務所所在地ではない)、生年月日を把握している(ただし、マンションの部屋番号は、転居前のままである。相当以前に、私の住民票や戸籍謄本を当局は取り寄せているものと思われる)。
(3)「ミランダの会」会員の言動については、その度ごとに極めて詳細な捜査報告書が作成されている(私が初めて架電した当日―当該警察署とは従前ほとんど関わりがなかった―別掲・「ミランダの会」会員弁護士からの要請について・という報告書が作成されている)。
「ミランダの会」 会員弁護士からの要請について
本日、当署において捜査中の被害者○○ (当一九歳)に係る傷害致死事件について、その関係者の事情聴取に関しみだしの会々員弁護士から次の要請があったので報告する。
記
1 要請弁護士
(自宅の住所)
弁護士 高島 章
(生年月日と満年齢)
2 要請に対する対応
本日、 午後六時三五分、一般加入電話で「弁護士の高島ですが」と切出し、本職が「刑事課長のMです」と答えたところ、「実はですね」と切出し約五分間、午後六時四〇分までの間、取調べに対する要請を行ったもの。
3 要請内容
高島弁護士は傷害致死事件の関係者とし事情聴取中のAに関して、 特に本人への取調べについて今後、
1 取調べに立会いをさせてほしい。
2 作成する供述調書を見(閲覧)させてほしい。
3 Aの呼出しについては直接、 本人に言ってもいいが、 出頭させるか否かは私が判断する。
というものであった。
4 具体的内容
(1) 高島弁護士は○○というもので、私は、家族に対しては 「人一人が死んでいるのだから協力はしなければならない」旨のことは言ったが、
家族の相談の内容からして今後、作成される供述調書などが民事裁判にも利用されかねない。それらのことがあり今後の○○の取調べに対して、上記3点について要請するというもの。
「ミランダの会」 会員弁護士からの要請に対する対応について
1 要請弁護士
(自宅の住所)
弁護士 高島 章
(生年月日と満年齢)
2 弁護士の要請経過
(2) 高島弁護士の本部、刑事総務課に対する照会
平成○○年○月○○日午前一一時五分、高島弁護士から県警本部刑事総務課に電話で中条署長の階級、氏名を問合わせる照会があり、同課員により当署の署長名及び階級が回答された。
3 申人書に対する対応
高島弁護士からの「申入書」について検討した結果、 同弁護士からの申入については 「一切応じられない」 との結果に達し、五月三〇日、 別添回答書
(写し) を添付のうえ 「申入書」 とともに配達証明、 速達、 書留郵物として返送した。傷害致死事件関係者からの事情聴取不能性について
4 今後の事情聴取等の困難性
(1) 「ミランダの会」会員弁護士からの要請(私の住所、氏名、生年月日、満年齢)
(2) 要請に対する検討、 対応
上記高島弁護士の要請について検討した結果、 参考人等の事情聴取に対して「弁護士を立会わせる法的根拠はない」ことを理由に同弁護士の要請については「一切、応じられない」との結論に達し、
○月○○日、 同内容を記載した文書を付け「申人書」 を返送した。
(3) 今後の事情聴取等の困難性
前記のとおり、今後も本件の参考人として○○の事情聴取は必要がある。 そこで、 同人を呼出した際、 同人又は家族から高島弁護士へ連絡が行き当署に同様な要請がなされると認められる。
当署としては前記のとおり、弁護士立会いによる事情聴取は「一切、応じられない」旨回答してあることから今後、 同人に対する任意の事情取は困難になる。
又、 家族にあっても同様、家族への事情聴取に対する同弁護士からの要請はないものの家族であることから同人に対する呼出しに対してもAと同様の要請がなされると認められその場合も、
Aと同様、今後、同人に対する任意の事情聴取は困難になる。
(高島章/新潟弁護士会)
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