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エッセイ

MIRANDA ASSOCIATION

刑事弁護の体験談、刑事司法改革について意見

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東京弁護士会
「刑事弁護ガイドライン」に関する日弁連あて「回答書」

2000年9月7日


日本弁護士連合会
 会長 久保井一匡 殿

東京弁護士会 
会長 平山正剛

回答書

本年6月20日付で意見照会があった刑事弁護ガイドライン(仮称)の策定について、本会は以下のとおり回答する。

回答書の趣旨

1 第2次案或いはこれを参考にした刑事弁護ガイドライン(仮称)の策定には反対である。

2 今回の刑事弁護ガイドライン(仮称)とは別に、国公選弁護制度に関して、弁護活動の最低基準として1992年の当会刑事弁護委員会決議及び1995年の日弁連国選弁護に関する委員会による国選弁護活動の充実・改善のための方策についてなどを参考にして準則を策定する必要があると考える。
尚、日弁連からの意見照会は、ガイドラインの策定それ自体について賛否を問うているが、上記意見の第2に言う「最低基準」は日弁連の意見照会に係るガイドラインに賛成する趣旨ではないことを付言する。

回答の理由

1 第2次案或いはこれを参考にしたガイドラインの問題点


(1)裁判所や検察官或いは被疑者国選弁護制度の運営主体となる法人による弁護活動への介入、統制を招き寄せる危険が高い。即ち、ガイドラインの条項が刑事弁護全体に対する準則となる結果、裁判所や検察官或いは被疑者国選弁護制度の運営主体となる法人が、ある特定の弁護士の弁護活動を排除すること(当該事件で弁護人を解任すること、以後他事件で弁護人の選任しないこと、懲戒申立て等)が可能となる。この結果、刑事弁護人の活動そのものが萎縮してしまう。

(2)弁護士の間でも意見が分かれ且つ事案によって異なった対応が必要となると思われる問題について、一律に基準を定めることは、弁護活動を不当に制約するものである。例えば、第2次案の第12条は真実義務に言及しているが、裁判所や検察官がこれを利用して弁護人の活動を真実義務違反であると攻撃する余地を与える。また、第2次案の第13条は共犯事件の受任の問題に言及しているが、検察官が意図的に外形上の利害対立を作り出して弁護人を排除する余地を与える。その他にも第21条や第24条など、弁護人に一方的に時間的、経済的負担を強いる反面、そのような実務を生み出している裁判所や検察官に対する批判姿勢の感じられない条項が多々ある。

(3)弁護活動の質的向上は研修やマニュアルの作成によるべきであり、ガイドラインの策定は必要ない。


2 国公選弁護制度に関する弁護活動の最低基準の必要性


以上のとおり、第2次案或いはこれを参考にしたガイドラインは弁護活動を不当に制約する危険性があり、これに賛成することは出来ない。

しかし、他方で、弁護人として被疑者・被告人のために最低限なすべき弁護活動の範囲というものは考えることが出来るし、特に被疑者、被告人自身が弁護人の選択も解任も出来ない国選弁護制度においてはその必要もある。

当会刑事弁護委員会では、既存の起訴後の国選弁護制度について、そのような観点から、1992年3月に「国選弁護活動の改善のために」(別紙のとおり)という委員会決議を行った。今後もし被疑者段階にも国選弁護制度が拡張されるとすれば、被疑者国選弁護制度についても同じ趣旨の最低基準を具体化する必要がある。即ち、上記委員会決議の内容や経過を被疑者弁護の場合に引き直した上で、同趣旨の準則を策定する必要と意味を認めることが出来るが、その場合、準則に含めるべき内容や準則の法的効力などについて時間をかけて十分且つ慎重に検討すべきである。

※ 尚、本意見書の意見の趣旨第2項の「最低基準」に関しては、現状でそのような問題提起をすると、それがガイドラインの策定自体には賛成する意見として利用される危険がある等の理由により、「最低基準」の策定を提案すること自体に強く反対する、と言う意見も根強く存在することを付言する。

以上


[別紙]

1992.3.13

国選弁護活動の改善のために(委員会決議)

東京弁護士会刑事弁護委員会

1.目的


国選弁護活動の適正化のため、当委員会は国選弁護運営規則第9条第1項に定める「国選弁護人としての職務に著しく不適切な行為が会った場合」の解釈基準を次のとおり確認する。

2. 規則の解釈基準


国選弁護人の活動について下記事由があった時は国選弁護運営規則第9条第1項に定める「国選弁護人としての職務に著しく不適切な行為が会った場合」に該当する。

(1)接見に関して

一審・控訴審の弁護活動をするに当たって、被告人と接見しなかった場合(第1回公判期日当日に裁判所の「仮監」で第1回目の接見をしたような場合も接見しなかった場合と同様に扱う)。

(2)記録の閲覧に関して

一審・控訴審・上告審を通じて、検察官が取調べ請求のため閲覧する機会を与えた証拠の書類又は証拠物や訴訟記録を閲覧しなかった場合。

(3)弁護活動の基本態度に関して

(a)公訴事実について被告人が否認しているのに弁護人が認めるような弁護活動をした場合。
 (b)公訴趣意書や上告趣意書において「被告人の上訴には理由がない」とか、「原判決は正当である」とか、被告人の利益に反する弁護活動をした場合。

(4) 国選弁護結果報告書の提出に関して

担当事件の終了後、弁護士会の督促にも拘わらず、上記報告書の提出をしない場合(国選弁護運営規則第7条第1項参照)。

(5)謝礼等に関して

国選弁護事件について、被告人その他の関係者から、弁護料、謝礼金その他の対価を要求または受領した場合(弁護士倫理第38条参照)。

(6)私選弁護人への変更に関して

私選弁護人に変更することをみだりに勧誘した場合(弁護士倫理第39条参照)。


3.国選弁護人の推薦停止の運営について


(1)国選弁護人の活動に関する苦情は、全て刑事弁護委員会に報告する。

(2) 国選弁護人の活動に関する苦情があった場合には、理事者と刑事弁護委員会で当該国選弁護人の活動に対する調査・処理の方針について速やかに協議する。

(3) 調査の方法は下記のとおり行う。 活動に対する照会・弁明の督促など。

(4) 調査の結果、国選弁護人としての職務の執行に著しく不適切な行為があったと判断した場合には、国選弁護人推薦停止の手続に関する規則にしたがって手続を進める。

以上

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